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採用ホームページを作り直せば、新卒は採れる?中小企業が制作前に決める9つのこと

採用ホームページを作り直すだけで、新卒採用が変わるとは限りません。

先に決めるべきなのは、なぜ新卒を採用するのか、どんな仕事を任せるのか、その仕事ではどんな人が活躍しているのかです。

採用ホームページは、会社を格好よく見せるためのものではありません。学生が自分の過去の経験と、その会社の仕事との共通点を発見し、働く姿を具体的に考えるための入口です。

この記事では、地方BtoB企業の事例をもとに、採用ホームページを制作する前に決めるべき9つのことを紹介します。

採用ホームページを作り直すだけで、新卒は採れるのか

古い採用ホームページを新しくすることには意味があります。

スマートフォンでは文字が小さい。掲載されている社員がすでに退職している。募集要項が数年前から更新されていない。どこを見ても抽象的な言葉ばかりで、仕事内容が分からない。

この状態では、仕事内容を読まれる前に候補から外される可能性があります。

株式会社アクシスが2026年卒以降の学生を対象に実施した調査では、採用サイトがない、またはデザインや情報が古いことが志望度に「とても影響する」と答えた学生は38.05%、「やや影響する」は50.00%でした。合計88.05%です。

ただし、見た目を新しくしただけで応募が増えるわけではありません。

デザインが担うのは、主に読む前の離脱を防ぐことです。応募したい理由をつくるのは、そこで伝える仕事、社員、経験、価値観の具体性です。

採用する理由や任せる仕事が曖昧なままでは、制作会社に渡せる材料も、学生に伝えられる中身もありません。

地方BtoB企業の新卒採用はどう変わったのか

私たちが支援した地方BtoB企業では、採用する人物像と入社後に任せる仕事を見直しました。

その内容を採用ホームページだけでなく、説明会、仕事体験、面接までつなげた前後の結果が以下です。

項目支援前支援後
対象年度2019年卒採用2027年卒採用
対象期間2018年3月から2019年3月2025年2月から2026年2月
エントリー数約70名約600名
1次面接参加者数4名約250名
入社・内定承諾入社者2名内定承諾者7名

※2019年卒採用と2027年卒採用では、採用市場、募集方法、使用媒体などの条件が異なります。同一条件で採用ホームページだけの効果を比較した数字ではなく、採用活動全体を見直した前後の実績です。

※上記の2027年卒採用はインターン等の早期接触のみで採用活動を完結しております。2026年2月時点で採用活動終了後は、本記事公開時の2026年9月まで内定承諾者数7名との接点のみ継続しています。2027年4月を迎えるまでは入社者ではありません。

支援では、採用する人物像を見直し、任せる仕事を決め、学生との接点ごとに伝える内容を組み直しました。採用ホームページは、その内容を学生が何度でも確認できる場所として制作しました。

採用ホームページだけを新しくする状態と、説明会、仕事体験、面接まで内容をつなぐ状態の比較

採用ホームページは学生にどんな役割を果たすのか

株式会社ベイジが2024年12月に1,842名を対象に実施した調査では、採用サイトを見て志望度が上がった経験がある人は26.93%、下がった経験がある人は21.61%でした。

最終的に入社を決めた企業の採用サイトを見た人は81.92%に上ります。

採用ホームページは、企業を最初に知る場所とは限りません。就職情報サイト、合同説明会、学校からの紹介、スカウトなどで会社を知った学生が、仕事内容や働く条件を確認する場所として使います。

同調査では、企業名を就職活動前から知っていたかどうかによって、採用サイトの閲覧率に大きな差はありませんでした。

知名度の低い地方BtoB企業にも、採用ホームページを見てもらえる機会はあります。問題は、訪れた学生が自分との接点を見つけられる内容になっているかです。

私たちは2026年2月から8月にかけて、同じ採用ホームページを見た2028年卒業予定の学生292名に、1次面接でホームページの感想を聞きました。感想は口頭で聞き、一人につき一件を記録しています。

当社が「自身の過去の経験と仕事内容・社員行動を関連づけた発言」と分類した学生が123名、42.1%でした。

会社の雰囲気や成長環境に対する抽象的な感想だけではありません。

結果が出ずに試行錯誤した経験。仲間と意見が割れた経験。自分で考えて進め方を変えた経験。そうした自分の過去と、会社の仕事を重ねて話していました。

学生が研究・集団活動・アルバイトの経験と、採用ホームページに掲載された実際の仕事との共通点を考える様子

この数字は、採用ホームページ単独の効果を示すものではありません。

ただ企業が仕事内容を詳しく伝えるだけでは、学生にとって他人の話で終わります。どんな場面で、誰と関わり、何を考え、どんな判断をする仕事なのか。そこまで具体的に伝えることで、学生は自分の経験と比べられます。

採用ホームページには何を載せ、選考とどうつなげるのか

採用ホームページには、最低限、次の内容が必要です。

仕事内容

職種名や業務一覧だけでは不十分です。

誰から依頼を受け、何を考え、誰と相談し、どこまで自分で決めるのか。仕事が始まってから終わるまでの流れを伝えます。

仕事の面白さと難しさ

「やりがいがあります」では伝わりません。

顧客からどんな反応をもらった時にうれしいのか。何を覚えるのが大変なのか。どんな判断で迷うのか。失敗しやすいのはどこか。

良い面だけでなく、実際に社員がつまずいた場面まで伝えます。

活躍している社員の経験

経歴を紹介するだけではなく、その社員が過去にどんな経験をし、仕事のどこで生かしているのかを言葉にします。

学生が自分の研究、部活動、アルバイトなどと比べられる情報が必要です。

募集要項と働く条件

給与、勤務時間、休日、勤務地、福利厚生、選考の流れを明記します。

仕事内容に興味を持っても、条件が分からなければ学生は判断できません。就職情報サイトやコーポレートサイトとの食い違いも確認します。

説明会、仕事体験、面接とのつながり

採用ホームページで伝えた内容と、説明会や面接で話す内容が違えば、学生は違和感を持ちます。

ホームページでは若手に仕事を任せると書いているのに、説明会では具体的な仕事を答えられない。社員同士で協力すると書いているのに、仕事体験では一人で課題を解くだけ。学生の経験を大切にすると書いているのに、面接では志望動機と自己PRしか聞かない。

これでは、採用ホームページで伝えた内容が、選考に進むほど崩れていきます。

採用ホームページだけを新しくするのも不十分です。コーポレートサイトに古い事業内容や退職した社員の情報が残っていれば、学生はどちらが正しいのか判断できません。

採用ホームページ、コーポレートサイト、説明会、仕事体験、面接で、同じ仕事像と人物像を伝える必要があります。

採用ホームページ制作前に決める9つのこと

なぜ今、新卒を採用する必要があるのか

「若手を増やしたいから」では足りません。

どの事業を伸ばすためなのか。数年後にどの仕事を任せたいのか。中途採用ではなく、新卒を採用する理由は何か。

ここが曖昧だと、学生に伝える内容も曖昧になります。

いつまでに何人を採用するのか

採用人数と期限を決めます。

必要な人数が決まらなければ、どれだけエントリーを集め、何人と面接し、何人に内定を出す必要があるのかを考えられません。

事業計画や人員計画と切り離さずに決めます。

入社後にどの仕事を任せるのか

配属予定の部署だけではなく、実際に任せる仕事を決めます。

入社直後、半年後、1年後に何を経験するのか。誰が教え、どこから一人で任せるのかまで確認します。

その仕事で活躍している社員は誰か

経営者が考える理想像だけで決めると、実際の仕事から離れます。

現場で結果を出し、周囲から信頼されている社員を挙げます。なぜその社員が活躍できているのかを、印象ではなく具体的な行動から確認します。

活躍している社員に共通する経験は何か

性格や能力だけでなく、過去の経験を見ます。

部活動、研究、アルバイト、家庭、趣味など、現在の仕事への向き合い方につながっている経験を聞きます。

学生が自分との共通点を考える材料になります。

仕事の面白さと難しさを言葉にできているか

面白さだけを伝えると、表面的になります。

どこでつまずくのか。何が大変なのか。どんな人には合わないのか。そのうえで、乗り越えた先に何があるのかを伝えます。

学生が自分の経験と比べられる具体的な場面があるか

「主体性がある人」「挑戦できる人」と書くだけでは、学生は自分が当てはまるか判断できません。

社員が自分から動いた場面、失敗した場面、周囲と意見が割れた場面を載せます。

抽象的な人物像を、実際の行動が見える情報に変えます。

説明会、仕事体験、面接まで内容がつながっているか

採用ホームページで紹介した仕事を、説明会では具体的に話します。

仕事体験では、その仕事で実際に求められる判断の一部を経験してもらいます。

面接では、学生の過去の経験を聞き、実際の仕事と重なる点や異なる点を確認します。

採用ホームページだけで完結させません。

採用結果をいつ、何で振り返るのか

採用ホームページは、公開したら完成ではありません。

エントリー数、説明会参加率、面接参加率、内定承諾率だけでなく、どの情報に学生が反応したのかも確認します。内定承諾後の辞退が多い場合は、選考中の接点だけでなく、内定後の伝え方や関わり方も確認します。

想定した学生と出会えていなければ、写真や文章だけを直して終わらせません。

なぜ新卒を採用するのか。何人必要なのか。どの仕事を任せるのか。どんな人が活躍しているのか。最初に決めた内容まで戻って見直します。

採用ホームページは採用活動の入口

良い採用ホームページは、会社を格好よく見せるものではありません。

学生が、自分の過去の経験とその会社の仕事との共通点を発見し、働く姿を具体的に考えられるものです。

そのためには、制作会社へ依頼する前に、経営者と採用担当者が決めるべきことがあります。

なぜ新卒を採用するのか。

いつまでに何人必要なのか。

何を任せたいのか。

どんな人が活躍しているのか。

制作会社は、その答えを魅力的に伝えることはできます。

しかし、その答え自体を代わりに決めることはできません。

まず社内で採用を設計する。

その答えを採用ホームページ、説明会、仕事体験、面接までつなげる。

そこまでして初めて、採用ホームページは新卒採用を変える入口になります。

執筆者

西野亘泰 / Kodai Nishino
株式会社エンライブン 取締役

採用戦略の企画と実行責任者として、地方BtoB企業の新卒採用を支援。採用する人物像の整理、採用ホームページ、説明会、仕事体験、面接選考、内定出しの企画・運用に携わっている。

支援企業の経営を前に進めるため、事業上必要な人財と入社後に任せる仕事を整理し、毎年約300名の学生との面談を含む採用活動全体を実行している。

参考調査

株式会社アクシス
「就職活動における採用サイト利用動向調査 2025」

株式会社ベイジ
「新卒採用における採用サイト利用実態調査」

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